おぼろ豆腐

認知症と少子高齢化について考えた記録

(11)認知症を根絶したい

今の介護の経験は無駄にはならない。
そして現時点では認知症という病とは共存していかなければならない。
それでもなお、私は認知症という病気をこの世から根絶すべきと考える。

長寿と引き替えに認知症リスクを負うことになったのがこの国の現状だ。
統計によると65歳以上が生涯で認知症になる確率は50%。95歳まで生きるとその率は80%を超えるらしい。
もはや身内の母だけの問題ではない。近所に住む独居老人にも十分あり得る話だし、それ以前に自分も妻も例外ではない。

人気の認知症介護のブログや書籍、あるいは自治体が配布するパンフレットなどは、明るく前向きに認知症に向き合おうといったものが多い。
それは間違いではない。私も一年を越す介護において、明るく楽観的な気持ちがなければとっくに挫折していたことだろう。
しかしそれだけではいけないのだ。
なってしまったものは仕方ない。前を向くしかないのだが、問題は「これから」だ。
これからに関してはとても楽観的ではいられない。このままでは社会が崩壊する。具体的には生活水準を下げざるを得ない状況が来ると思っている。
だから国レベルでの治療と予防の取り組みが急務だ。
そしてこの国から認知症という病気がなくなって欲しい。

私は母を憎んではいない。しかし、母から穏やかな老後を奪い去った認知症という病は憎い。