おぼろ豆腐

認知症と少子高齢化について考えた記録

(52)介護認定の申請

次に向かった先は福祉事務所。
毎度「福祉課」と書いていたが正しい名称は「福祉事務所」だ。
前の日に電話を入れてあったがその後も様々な問題が発覚しているため、改めて母のことを一から話す。
当然火災未遂の件もガスコンロを手放さない件も話した。私の一番の心配事は火事だったのだ。

ここから一年後、ある出来事により福祉事務所に対しては多少の不信感を抱くのだが、当時はすがる思いだ。
ホームヘルパーを頼みたいのだと言うと、それではまず介護認定を受ける必要がありますとのこと。
そのための申請書を貰う。
その後調査員が来て本人と面談。
加えて主治医の意見書が必要だという。

母には足腰が弱ってるからヘルパーを頼むのだと言ってきたのだが、事情を全て話すと、それなら外科医よりも心療内科医の意見書がいいでしょうと言われる。
まあそれは何とかなるだろう。
面談は早くとも一週間後。
流石に私も姉も仕事に復帰せねばならない。だがそれも叔母に頼めば同席くらいしてもらえるだろう。
日程の詳細が決まったら私の携帯に連絡をくれるよう番号を渡す。

面談から審査、認定までは更にまた数週間。
しかしその間にケアマネージャーをつけ、先行してホームヘルパーのサービスを利用することが出来るという。
それならば一先ずは安心だ。

介護認定にもレベルがあり、どれほど介護が必要であるかという状態に応じて、「要支援」が二段階、「要介護」が五段階。
最も低い「要支援1」でもホームヘルパーのサービスは受けられるが、一定額を超えると自己負担となる、その限度額が介護度によって変わってくるのだ。

しかし問題はそもそも今の状況で介護認定が下りるのかどうかといった点だ。
私の地元でもかなりの少子高齢化が進んでおり、老介護サービスもさかんに利用されていることであろう。
私たち家族にとってみれば母のあまりの変容ぶりに手助けが欲しいのは確実だが、第三者の目に、果たして今の母は他の老人同様、介護が必要なように映るだろうか。
まだ来客の際の応対は健康だった頃と見分けがつかないほど的確に受け答えができているのだ。
一抹の不安を抱えながら市役所を後にした。